
〜それぞれの強みと弱みを、どう補い合うか〜
「LINEがあれば、すべてできると思っていた」
「CRMを入れたのに、反応がいまひとつ」
「アプリをリリースしたが、使われていない」
こんな声を聞くことがあります。
LINE、アプリ、CRM、それぞれが強力なツールであることに間違いはありません。
けれど、万能ではないのです。
今回は、それぞれのチャネルが持つ“限界”を見つめ直し、どう組み合わせれば「一貫した顧客体験」が生まれるのかを考えてみましょう。
LINEの限界:つながるが、深まりにくい
LINEは、もっとも手軽に顧客とつながれるチャネルです。通知の到達率も高く、反応も得やすい。
しかしその反面、「誰が・何をしたか」という情報は極めて限定的です。
LINEだけでは、
・購買履歴や来店頻度が把握できない
・ポイントの履歴や交換状況の管理が難しい
・属性ごとのセグメントや施策の追跡がしにくい
といった限界があります。
“接点”はつくれるが、“関係性”を深める設計が難しい。これがLINEの課題です。
アプリの限界:情報は豊富だが、導入までのハードルがある
アプリは、顧客の行動を詳細に取得できるチャネルです。GPS、カメラ、プッシュ通知、来店スタンプなど多機能であり、CRM連携もしやすい。
ただしその反面、
・ダウンロードまでの心理的ハードルが高い
・使い慣れてもらうまでに時間がかかる
・通知許可を拒否されるとリーチできない
というように、最初の導入と習慣化に課題があります。
導入できた人にはリッチな体験を届けられる一方、“全体をカバーする力”は弱いのです。
CRMの限界:賢いが、自らは動かない
CRMは、「誰が、いつ、何をしたか」を記録・分析し、戦略的な意思決定を可能にするツールです。
顧客理解の核になる存在です。
しかし、CRM単体では、
・データがなければ動けない
・入力や連携の仕組みを整備しないと“箱”にしかならない
・直接的なアプローチ手段(LINEやアプリ)を持っていない
という課題があります。賢いが、アクションは別のツールに頼らざるをえないのがCRMです。
組み合わせて初めて“つながる体験”になる
ここで重要なのは、どのチャネルも「欠点があるからダメ」なのではなく、強みと弱みが明確だからこそ“組み合わせる意義”があるということです。
・LINEで「つながる」
・アプリで「習慣化する」
・CRMで「理解し、育てる」
この3つをどう橋渡しするかが、ブランドの体験設計において極めて重要です。
Point Hubは、橋渡しのハブになる
それぞれのチャネルで得られたポイントを「共通の通貨」として接続し、一貫した顧客体験をつくる。これがPoint Hubの役割です。
たとえば、
・LINEのキャンペーンで得たポイントを、アプリでの来店スタンプに変換
・ECでの購入ポイントを、店舗の割引特典に反映
・アプリ利用履歴をCRMに連携し、優良顧客に限定配信
といったように、バラバラな接点で得られた“行動”をひとつに束ねることで、「覚えてくれている」という体験が生まれます。
LINEだけでは「反応」は得られても、関係は深まりません。
アプリだけでは、最初の一歩を踏み出してもらえないかもしれません。
CRMだけでは、「誰が何をしたか」の履歴は追えても、それを生かす“動き”ができません。
だからこそ、それぞれのツールが「得意なこと」に集中できる環境をつくることが、持続的なマーケティング運用のカギになります。
次回はいよいよ最終回。ここまで積み上げてきた「ポイントの力」を通じて、ブランドと顧客の関係性がどう変わるのか、そして、Point Hubが描くその未来像についてお話しします。