第3回:使われないポイントは、誰の損失なのか
― 失効ポイントがと顧客体験を止めてしまう理由 ー

一定期間で失効する。
気づかれないまま期限を迎える。
結果として、ポイントは消えていく。
従来、この状態は大きな問題として扱われてきませんでした。
むしろ、
- コストがかからない
- 値引きが発生しない
- 会計上は有利に見える
といった理由から、失効ポイント=企業側にとって悪くない結果と捉えられることさえありました。
しかし、OMOの視点で見ると、この考え方は大きく変わってきます。
失効ポイントは「何も起きなかった」証拠
OMOとは、オンラインとオフラインを横断して顧客体験を連続させる考え方です。
この前提に立つと、ポイントが使われずに失効するという出来事は、単なる「未使用」ではありません。
それは、
- 再来店が起きなかった
- 別サービスへの接点が生まれなかった
- 顧客行動が次につながらなかった
という、体験が途中で止まった結果を意味します。
つまり失効ポイントとは、「何も起きなかった」ことの記録なのです。
OMOにおいて最も避けたいのは、顧客との接点が途切れることです。
失効ポイントは、その兆候が最も分かりやすく表面化した状態だと言えます。
利用者にとっての「使われないポイント」
利用者側の視点で考えてみます。
ポイントが使われない理由の多くは、「価値がないから」ではありません。
- どこで使えるのか分からない
- 金額が小さく、使う動機にならない
- サービスごとに分かれていて管理が面倒
- オンラインとオフラインで使い分けられない
これらはすべて、ポイントが分断されていることに起因します。
OMOを意識していないポイント制度では、利用者は「貯めた価値」を一つのものとして認識できません。
結果として、「いつか使おうと思っていたポイント」は気づかれないまま失効していきます。
企業側にとっての「見えない損失」
失効ポイントは、表面的にはコスト削減に見えるかもしれません。
しかし、OMOの観点では、そこには 見えない損失 が存在します。
- ポイントを使うことで生まれるはずだった再来店
- 他サービスへの送客
- 利用履歴として残るはずだった行動データ
これらが一切発生していない状態だからです。
ポイントは、顧客に「次の一歩」を促すための仕組みです。
それが使われなかったということは、関係性が前に進まなかったことを意味します。
OMOでは、一度の購入や来店よりも、その後の継続的な体験が重要になります。
失効ポイントが多い状態は、その流れが途中で止まっているサインとも言えるのです。
OMOにおけるポイント活用の考え方
OMOを前提としたポイント活用では、「失効させないこと」自体が目的ではありません。
重要なのは、ポイントが 自然に使われる状態 を設計できているかどうかです。
そのためには、
- サービスをまたいで使える
- オンラインとオフラインで同じ価値として扱える
- 顧客が「使い道」を選べる
といった条件が必要になります。
ここで再び重要になるのが、ポイント統合 という考え方です。
ポイントが統合され、一つの価値として認識されるようになると、利用者は「使える実感」を持ちやすくなります。
その結果、ポイントは失効するものではなく、顧客体験を前に進めるための手段へと変わります。
失効ポイントは、設計を見直すヒントになる
OMOの視点では、失効ポイントは「問題」ではなく、設計を見直すためのヒントでもあります。
- どのポイントが使われていないのか
- なぜ使われなかったのか
- どこで体験が途切れているのか
これらを見ていくことで、分断されている顧客体験が浮かび上がってきます。
次回は、「ポイントを統合すると、OMOで何が変わるのか?」というテーマで、ポイント統合が顧客体験と事業にどのような変化をもたらすのかを整理していきます。
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