Zoho Deskの「案内ボット」とは? ナレッジベースをAIで活用する方法 ③

2026/09/29 18:28

第3回:案内ボットの回答精度を検証!Claude+MCPとの比較

第1回ではZoho Deskの案内ボットの設定方法、第2回ではWebサイトから案内ボットを利用する方法をご紹介しました。
ここまでで、Zoho Deskのナレッジベースに登録した情報を、AIに質問して利用する仕組みを作ることができました。
では、実際にAIを使ったナレッジ検索を構築する場合、必ずZoho Deskの案内ボットを使わなければならないのでしょうか。
実は、そうとは限りません。
ClaudeやChatGPTなどの生成AIからMCPを経由してZoho Deskのナレッジを検索する方法もあります。
さらに、Zoho Deskを使わず、Google DriveやZoho WorkDriveなどのクラウドストレージにPDFやWordファイルを保存し、それをAIから検索する方法も考えられます。
今回は、これらの方法を比較しながら、AIに利用させるナレッジをどこに置くのがよいのかを考えてみたいと思います。


1. AIで社内情報を利用する方法はいくつかある

AIを使ってマニュアルやFAQを検索する仕組みを作る場合、大きく分けると次のような方法があります。


方法1:Zoho Desk+案内ボット
Zoho Deskのナレッジベースを、Ziaの案内ボットから利用します。
方法2:Zoho Desk+MCP+ClaudeやChatGPT
ナレッジはZoho Deskで管理し、回答や検索には外部の生成AIを利用します。
方法3:クラウドストレージ+ClaudeやChatGPT


Google DriveやZoho WorkDriveなどにPDFやWordファイルを保存し、それらをAIから検索します。
どれも「AIに社内情報を答えてもらう」という目的は同じですが、考え方はかなり違います。


2. 一番シンプルなのはZoho Deskの案内ボット

まず、最もシンプルなのは第1回、第2回でご紹介したZoho Deskの案内ボットです。
構成は、こちらです。
ユーザー
↓
Zoho Desk 案内ボット
↓
Zoho Desk ナレッジベース

Zoho Deskの中だけで完結できるため、別途AIとの連携基盤を開発する必要がありません。
また、ASAPを使えばWebサイトにも比較的簡単に設置できます。


3. ただしAIが答える前には「検索」がある

実際に案内ボットを使ってみると、1つ重要なことが分かります。
AIは、いきなりナレッジベース全体を読んで回答しているわけではありません。
まず質問に関連すると判断したナレッジを探し、その情報をもとに回答します。
例えば今回、「経費精算の申請方法を教えてください」と質問した場合には、経費精算に関連する回答ができました。
一方、「経費申請の締め切りはいつですか?」と少し表現を変えると、別のナレッジを参照することもありました。
つまりAIによるナレッジ検索では、次のような複数の処理があります。
質問を理解する
↓
関連する情報を探す
↓
見つけた情報から回答を作る
最終的な文章が自然かどうかだけではなく、その前に正しい情報を見つけられるかも重要です。


4. そこでMCPという選択肢がある

もう1つの方法が、MCPを使ってClaudeやChatGPTなどの生成AIからZoho Deskへアクセスする方法です。
MCP(Model Context Protocol)は、生成AIから外部のシステムやデータを利用するための仕組みです。
例えば、次のような構成にできます。
Claude
↓
MCP
↓
Zoho Desk
↓
ナレッジベース

この場合、Zoho DeskはAIそのものではなく、AIが参照するナレッジデータベースという役割になります。
実際に今回、ClaudeからMCP経由でZoho Deskのナレッジを検索する形も試しました。
同じZoho Deskの記事を利用しながら、回答部分にはClaudeを利用できます。
ここがMCPの面白いところです。


5. Zoho DeskとAIを分離できる

MCPを利用すると、ナレッジを管理するシステムと、利用者と会話するAIを分離できます。
例えば、次のような役割分担です。
Zoho Desk
→ FAQやマニュアルなど正しい情報を管理
Claude
→ 質問の理解、検索、回答

将来Claude以外のAIを使いたくなった場合も、ナレッジそのものをすべて移行する必要はありません。
ChatGPTや別のLLMから同じZoho Deskを利用する構成も考えられます。
つまり、データはDeskに残し、AIは用途に応じて選ぶという設計です。
これはAIの進化が速い現在では、かなり重要な考え方だと思います。


6. ではZoho Deskを使わずPDFを置けばいい?

ここで当然、こんな疑問が出てきます。
「ClaudeやChatGPTを使うのであれば、Zoho Deskを使わず、Google DriveやWorkDriveにPDFを置くだけでもいいのでは?」
これはその通りです。
例えば、このような構成でも、AIによる情報検索は可能です。
Google Drive / WorkDrive
↓
PDF・Word・Excel
↓
Claude / ChatGPT

しかも既存のマニュアルがPDFやWordですでに大量に存在している場合には、こちらの方が導入は簡単です。
ファイルをそのまま利用できるため、わざわざナレッジ記事へ書き直す必要がありません。
「既存資料をとにかく早くAI検索できるようにしたい」
という目的なら、クラウドストレージ方式は有力な選択肢です。


7. クラウドストレージ方式のメリット

クラウドストレージをAIのデータソースとして利用する最大のメリットは、既存資料をそのまま使いやすいことです。
企業にはすでに、就業規則や営業マニュアルなど、多くの資料が存在しています。

それらをAIから検索できれば、導入時の準備を大幅に減らせます。
特にページ数の多いマニュアルや正式な規程などは、無理にDeskの記事へ分割するよりも、原本ファイルとして保存しておく方が管理しやすい場合があります。 


8. 一方で「ファイル置き場」になりやすい

クラウドストレージ方式には弱点もあります。
例えば、出張規程.pdf、出張規程_最新版.pdf、出張規程_2026改訂版.pdf、出張規程_最終.pdf、といったファイルが増えてくると、どれが正式な情報なのか分かりにくくなります。

人間が分からなければ、AIにとっても扱いやすい状態とはいえません。
また、1つのPDFに複数のテーマが含まれていると、更新するたびにファイル全体を修正する必要があります。
クラウドストレージは文書を保存する場所としては非常に優れていますが、FAQやナレッジを育てていくための仕組みとは少し性格が違います。


9. Zoho DeskをDBにするメリット

一方、Zoho Deskでは情報を「記事」として管理できます。
(例)

経費精算の申請方法
出張の申請方法
ホテル予約のルール
PCを紛失した場合

このように1テーマずつ分けておけば、情報を更新するときも該当する記事だけを修正できます。
さらに、次のような機能を持っており、ナレッジ運用のための仕組みを利用できます。

  • カテゴリ分け
  • 公開/非公開
  • 言語
  • 記事の更新
  • Web公開
  • FAQとしての利用
  • 問い合わせとの連携
ここが単純なクラウドストレージとの大きな違いです。

10. 「AIに読ませるDB」として考える

Zoho Deskのナレッジベースというと、「お客様向けFAQ」というイメージが強いかもしれません。
しかしAI時代には、AIに読ませるためのナレッジDBとして考えることもできます。
例えば、営業ナレッジ、製品FAQ、操作マニュアル、社内ルール、サポートノウハウなどをDeskで整理しておきます。
そして、それをZia案内ボットから使ってもよいですし、Claude+MCPから使ってもよい。
将来的には別のAIから利用してもよいわけです。
つまり、Zoho Deskの価値を「内蔵AI」だけに限定して考える必要はありません。



11. 3つの方法を比較すると

今回の3つの方法を簡単に整理すると、このようになります。

どれか1つが必ず正解というわけではありません。
目的によって選ぶことが大切です。


項目Desk+案内ボットDesk+MCP+LLMクラウドストレージ+LLM
始めやすさ◎△○
開発・連携少ない必要接続方法による
既存PDFの活用△△〜○◎
ナレッジの整理◎◎△
FAQとしての利用◎◎△
Web公開◎構築次第構築次第
AIを選べる自由度△◎◎
情報更新の管理◎◎○
問い合わせとの連携◎◎△



12. 手軽に始めるなら案内ボット

すでにZoho Deskを利用していて、ナレッジベースも整備されているのであれば、まず案内ボットを試すのが一番簡単です。
特別な連携システムを構築しなくても、ナレッジベース+Zia+ASAPで、AI FAQの仕組みを作ることができます。
前回ご紹介したように、Webページにボタンを配置して利用することもできます。
まずAIナレッジ検索を体験してみたい場合には、非常に導入しやすい方法です。


13. AIの自由度を重視するならMCP

一方、「Claudeを使いたい」「ChatGPTを使いたい」「CRMなど他のシステムも一緒に検索したい」といった場合には、MCPを利用した構成が候補になります。
例えば将来的には、Deskのナレッジだけでなく、Zoho CRM、Zoho Creator、独自データベースなどを横断してAIから利用することも考えられます。
AIが複数の業務システムを利用する構成では、MCPのメリットが大きくなります。


14. 既存文書をすぐ使いたいならクラウドストレージ

すでに大量のPDFやWordファイルがあり、「まずはこれをAIで検索したい」という場合には、クラウドストレージをそのまま利用する方法が現実的です。
わざわざすべてをナレッジ記事へ変換する必要はありません。
まずクラウドストレージ+AIで始め、利用頻度の高い情報だけDeskのナレッジへ整理していく方法もあります。


15. 実際には「併用」が一番現実的かもしれない

個人的には、実際の企業利用では1つに統一する必要はないと思います。
例えば、
・Zoho Desk:FAQ、よくある問い合わせ、操作方法、AIが回答しやすいナレッジ

・WorkDriveなど:正式な規程、契約書、大量ページのPDF、原本資料

・Claude / ChatGPT:質問の理解、複数ソースの検索、回答生成

という役割分担です。

利用者が「出張申請の方法を教えて」と聞いた場合はDeskの記事を利用し、「正式な出張規程を確認したい」と言われた場合にはWorkDrive上のPDFを案内する。

このような構成も考えられます。


16. 重要なのは「どのAIを使うか」だけではない

生成AIの話になると、「ChatGPTがいいのか」「Claudeがいいのか」「Ziaがいいのか」という比較になりがちです。
もちろんAIの能力は重要です。
しかし、企業でAIを継続的に使う場合には、AIが参照する情報をどう管理するかも同じくらい重要です。
AIがどれだけ賢くても、古いマニュアルや間違った資料を参照していれば、正しい回答はできません。
そのため、AIとナレッジ管理は分けて考える必要があります。


17. Zoho Deskは「AIのためのナレッジ基盤」にもなる

今回3回にわたってZoho Deskの案内ボットをご紹介しました。
最初は、「DeskにこんなAI機能がある」というところから始まりました。
しかし実際に試していくと、もう少し広い使い方が見えてきます。
Zoho Deskにナレッジを整理しておけば、Deskの案内ボットから利用することもできます。
ClaudeからMCP経由で利用することもできます。
将来的に別のAIから利用することも考えられます。
つまりZoho Deskを、「AIが利用する会社のナレッジ基盤」として考えることができるわけです。


18. 第3回まとめ

今回は、Zoho Deskの案内ボットだけでなく、MCPを利用してClaudeやChatGPTなどからZoho Deskのナレッジを利用する方法、さらにクラウドストレージをAIのデータソースにする方法について考えてみました。
それぞれにメリットがあります。
・手軽に始めたい→ Zoho Desk+案内ボット
・AIを自由に選びたい、他のシステムとも連携したい→ Zoho Desk+MCP+Claude / ChatGPT
・既存PDFやWordをそのまま使いたい→ クラウドストレージ+Claude / ChatGPT

 そして実際には、Zoho Desk+クラウドストレージ+生成AIを組み合わせる方法もあります。
重要なのは、すべてをAIに合わせて作り直すことではありません。
どの情報をどこで管理し、どのAIから利用するのかを整理することです。
Zoho Deskは問い合わせ管理だけでなく、ナレッジを整理・更新・公開できる機能を持っています。
AI活用が進んでいく中で、こうした「AIが利用するナレッジを管理する場所」としてのZoho Deskの使い方も、今後ますます重要になってくるのではないでしょうか。



株式会社ワックアップについて


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