LLM・BYOK・Agentic AI
Zoho CRMのZia Agentは何を頭脳として動いているのか?

前回は、Zoho CRMに実装された「Zia Agent」について、「入力するためのCRM」から「AIが働くためのCRM」へ変わり始めていることをご紹介しました。
しかし、ここで多くの方が疑問に思うのではないでしょうか。
Zia Agentは何を頭脳として動いているのか。
ChatGPTやClaudeとは何が違うのか。
そして、なぜZohoはBYOK(Bring Your Own Key)という考え方を採用しているのでしょうか。
今回は、Zia Agentの裏側にある仕組みを整理しながら、AIエージェント時代のCRMについて考えてみたいと思います。
Zia Agentは「AI」そのものではない
まず最初に整理したいのは、Zia AgentはAIそのものではないということです。
私たちは、「Zia Agent=ChatGPTのようなAI」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、Zia Agentは複数のAI技術を組み合わせて動作する「AIエージェント基盤」に近い存在です。
イメージとしては、次のような構成になります。
CRMデータ
↓
LLM(大規模言語モデル)
↓
Zia Agent
↓
分析・提案・実行
つまり、Zia Agent自身が頭脳なのではなく、LLMを頭脳として利用しながら、Zoho CRMのデータや機能を使って業務を支援する仕組みなのです。
LLM(大規模言語モデル)とは何か
LLM(Large Language Model)は、大量の文章を学習し、人間のような自然な文章を生成したり、推論を行ったりするAIモデルです。
現在、代表的なLLMとしては、次のようなものがあります。
・OpenAI(GPTシリーズ)
・Anthropic(Claudeシリーズ)
・Google(Geminiシリーズ)
これらは、それぞれ得意分野が異なります。
例えば、文章生成が得意なモデルもあれば、推論能力に優れたモデル、長い文章の処理が得意なモデルもあります。
Zia Agentは、これらのLLMを頭脳として利用しながら、CRMの中で動作するAIエージェントを構築していると考えると分かりやすいでしょう。
ChatGPTとZia Agentは何が違うのか
ChatGPTへ、「今月の失注率を分析してください」と質問したとします。
当然ですが、ChatGPTは自社のCRMデータを持っていません。
そのため、回答するためには、データをコピーして貼り付ける必要があります。
一方、Zia Agentは違います。
Zoho CRMのデータへアクセスできるため、商談情報や顧客情報、活動履歴などを参照しながら分析を行うことができます。
さらに、分析だけではありません。
必要に応じてレコードの更新やメール送信、ワークフローの実行などへつなげられる可能性があります。
つまり、ChatGPTは「質問に答えるAI」。
Zia Agentは「CRMの中で働くAI」。
この違いが非常に大きいのです。
Agentic AIとは何か
近年、「Agentic AI(エージェンティックAI)」という言葉を耳にする機会が増えています。
これは、単に質問へ回答するAIではなく、自ら状況を理解し、必要な行動を考え、実行まで行うAIを指します。
例えば、営業担当者が、「失注リスクの高い顧客を教えて」と質問したとします。
従来の生成AIであれば、回答を返して終わりでした。
しかし、Agentic AIでは、CRMデータを分析し、失注リスクを抽出し、必要に応じて担当者へ通知し、次に取るべきアクションまで提案する。
そのような世界を目指しています。
Zia Agentも、まさにこのAgentic AIという考え方をベースに設計されていると言えるでしょう。
なぜBYOK(Bring Your Own Key)が重要なのか
今回、私たちも実際にZia Agentの検証を行いました。
その中で改めて感じたのが、BYOKという考え方の重要性です。
BYOKとは、利用者自身がOpenAIなどのAPIキーを持ち込み、Zoho CRMから利用する仕組みです。
これにはいくつかのメリットがあります。
まず、自社で利用するLLMを選択できることです。
また、利用量やコストを自社で管理しやすくなります。
さらに、どのAIをどの業務で利用するかを自社のポリシーに合わせて設計できるようになります。
AIは今後も急速に進化していきます。
現在はOpenAIやAnthoropicが優れている部分もありますが、将来的には別のモデルが主流になるかもしれません。
そのような変化に対応するためにも、LLMを自由に選択できるBYOKの考え方は、非常に重要になっていくのではないでしょうか。
AIを導入するだけでは、AIエージェントは動かない
もっとも、AIエージェントを有効化しただけで、すぐに優秀な営業アシスタントが誕生するわけではありません。
ここは非常に重要なポイントです。
AIが考えるためには、材料が必要です。
・顧客情報
・商談履歴
・活動履歴
・商品情報
・メール履歴
これらのデータが十分に蓄積されていなければ、AIは適切な分析や提案を行うことができません。
AIが賢くないのではありません。
AIが考えるための情報が不足しているのです。
私たちは今回の検証を通じて、AI時代のCRMでは、データを入力する目的そのものが変わり始めていると感じました。
これからのCRMは、上司へ報告するための入力システムではありません。
AIが働くための知識基盤へと変わっていくのです。
まとめ
Zia Agentは、単なるAIチャット機能ではありません。
LLMを頭脳として利用し、CRMデータを理解し、分析や提案、将来的には実行まで担う可能性を持つAgentic AIの入口です。
そして、その価値を最大限に引き出すためには、BYOKによる柔軟なAI活用と、CRMデータの整備が欠かせません。
私たちは、AI時代のCRMとは、「人が入力するためのシステム」ではなく、「AIが働くための知識基盤」になっていくと考えています。
Zia Agentは、その変化を最も分かりやすく示している機能の一つなのかもしれません。
次に読む記事
今回の検証を通じて、もう一つ疑問が生まれました。Zia Agentは、いったい何を頭脳として動いているのでしょうか。ChatGPTなのでしょうか。Claudeなのでしょうか。それともZoho独自のAIなのでしょうか。実際に設定画面を確認すると、「Zoho Hosted Models」「External LLM」「BYOK」といった複数の選択肢が用意されており、最初は私たちもその違いを理解するのに少し時間がかかりました。次回は、Zohoが用意しているAI基盤「ZKS(Zoho Key System)」を整理しながら、Zia Agentがどのような仕組みで動いているのか、そして企業がAIを自由に選択できる理由についてご紹介します。
ワックアップは、横浜・沖縄を拠点に、中小企業・店舗のデジタル化を支援するDXソリューションカンパニーです。
特に沖縄地域においては、クラウド活用や情報共有基盤の整備、顧客データ活用など、地域企業に寄り添ったDX支援にも積極的に取り組んでいます。
ポイント統合・交換サービス「Point Hub」、会員アプリ「ワックアプリ」、LINE公式アカウント連携サービス「LINE Hub」、など、顧客とのつながりを深める独自のサービスを提供しています。
また、Zoho公式パートナーとして、CRM(顧客管理)やマーケティングオートメーションを中心とした「Zoho導入・運用支援」も行い、企業の業務効率化や情報基盤整備、データ活用をサポートしています。
地域企業に寄り添いながら、“現場に定着するDX”を支援しています。
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