第6回:顧客心理を“スコア化”する視点

2025/08/09 17:55

〜見えない気持ちを、見える行動から読み解く〜

ポイントは、数字です。
何ポイント保有しているか、何に使ったか、いつ貯めたか?すべてが定量的に記録されていきます。

でも、その数字の裏側には、お客様の“気持ち”や“習慣”が隠れている。
今回は、その「見えない心理」を読み解くための、“スコア化”という視点について考えてみましょう。


「なぜ来たのか」より「なぜ来なくなったのか」に注目する  

たとえば、あるお客様がポイントをしっかり貯めていたのに、突然来店しなくなった。
あるいは、交換の一歩手前で止まってしまった。
そのとき、私たちは「数字」を見ることができます。

・前回利用日からの経過日数
・保有ポイントが減っていない(=使われていない)
・キャンペーンの反応がない
・他チャネルでのアクションが確認できない

これらのデータは、いわば「沈黙のサイン」です。
言葉で不満を言わなくても、行動で“気持ちが離れている”ことを知らせているのです。

逆に、
・毎月コンスタントに来店している
・少額でも何度もポイントを使っている
・他人を紹介してくれている

こうした行動には、ブランドへの信頼や愛着、楽しんでいる感情がにじみ出ています。
つまり、ポイントの動きには、お客様の「感情の傾向」や「習慣の定着度」がそのまま現れるのです。


では、どう“スコア化”するのか?  

スコア化とは、顧客の行動をもとに「関心の強さ」や「ファン度合い」を数値的に評価することです。
たとえば、以下のような指標を組み合わせてスコアをつけることができます。

  • ポイント利用頻度(貯めるだけでなく使っているか)

  • 来店/購入間隔(リピートサイクルの安定性)

  • チャネル横断率(店舗・EC・アプリなど複数接点での利用)

  • 紹介やアンケート回答の有無(能動的な関与度)

  • 特典交換の完了率(継続的なエンゲージメント)

これらのスコアを活用すれば、
「今は接点が減っているが、以前は高スコアだったお客様」
「最近スコアが上昇傾向にある“育ち中”のお客様」
「ほぼ行動が見られない“休眠予備軍”」
といった顧客の“状態”を可視化できるようになります。


Point Hub × CRMで、スコアに意味を持たせる  

Point Hub単体では、ポイントの発行・統合・交換を通じて、さまざまなチャネルでの行動データを一元化できます。
そして、この「一元化されたデータ」をZoho CRMなどと連携させることで、行動の傾向を“意味のあるスコア”として蓄積・活用できるようになります。

たとえば、

  • 来店頻度が落ちてきた顧客に、自動でフォロー通知を送る

  • 高スコア顧客に限定イベントの案内を出す

  • アプリとEC両方でアクションのある顧客を優遇キャンペーンに組み込む

といった「行動に応じた提案や接客」が可能になります。

お客様にとっても、
「自分のことを理解してくれている」
「ちょうど気になっていたことを教えてくれた」
という実感は、関係性を深めるきっかけになります。


“感情を可視化する”ために、まず行動を見る  

お客様の感情は、直接は見えません。
でも、ポイントの使い方や動き方を見ることで、その“輪郭”は見えてきます。

「この人は、楽しんでくれているかもしれない」
「ちょっと関心が離れてきたかもしれない」
そんな“気配”を捉えるための視点が、「スコア化」なのです。

そしてそのスコアは、「ただの記録」ではなく「次のアクションのヒント」になります。
関係を深めるために、どんな声をかければいいのか?
何を提案すれば、また動いてくれるのか?

それを考えるための土台として、スコアの設計と活用は、非常に実践的で有効なアプローチです。

次回は、こうした「スコア」をもとに、より細やかに施策を変えていくための視点
“エリア別”や“属性別”のポイント設計についてお話しします。