第4回:ポイントが顧客をつなぐ。共通化のメリットとは?

2025/05/21 19:05
顧客との関係構築において、店舗独自のポイント制度は長年有効な手段とされてきました。 
来店や購入に応じてポイントを付与し、再来店やリピート購入を促す。
多くの店舗で導入されているこの仕組みは、ある意味で「最も身近なCRM」と言えるかもしれません。

しかし、OMOの視点で見ると、この“店舗ごとの独立したポイント制度”が、かえって顧客体験を分断してしまっているケースも少なくありません。
実店舗、アプリ、ECサイトなど、それぞれが異なる仕組みでポイントを運用していると、顧客はチャネルごとに異なる会員登録を求められたり、ポイントの管理が煩雑になったりして、利便性が損なわれてしまいます。

ここで重要になるのが、「ポイントの共通化」です。
Point Hubが提供する仕組みは、あらゆるチャネルで発生したポイント情報を共通のIDで一元管理できるというもの。

顧客は、どこで買っても、どこで使っても同じようにポイントが貯まり・使えるという、シンプルでわかりやすい体験を得られるようになります。

これは単なる利便性の向上にとどまらず、「顧客接点の統合」そのものでもあります。 たとえば、
•実店舗で初めて来店した顧客が、ポイント取得のためにアプリをダウンロード
•次はECサイトで買い物をし、そこで得たポイントを再び実店舗で使う 
こうした行動の“循環”を生み出すことができるのです。

さらに、この共通IDを起点にすれば、顧客の行動履歴を他システムと連携し、分析・活用することも可能になります。 たとえば、
•どの店舗でポイントを貯めているか(=生活圏の傾向)
•どのチャネルで利用されているか(=購買行動の傾向)
•どのタイミングでポイントを使っているか(=来店・購入動機) 
といった情報が明確になります。

こうしたデータは、顧客セグメントの設計や販促の最適化に大きく貢献します。
たとえば、「あるエリアの実店舗でのみ買い物をしている顧客」に対しては、ECサイト限定のクーポンを送付してオンライン利用を促す。
逆に、「ECばかり利用している顧客」には、近隣店舗の来店キャンペーンを通知する——そんなアプローチが可能になります。

このように、共通ポイントの仕組みは、“行動をつなげ、見える化し、活用する”ための土台とも言えるのです。
顧客にとっても「貯めたポイントがどこでも使える」「どこで使ったかをアプリで確認できる」といった体験は、安心感や信頼感につながります。

また、店舗ごとに異なるオペレーションを減らし、顧客対応をシンプルにするという運用側の利点も見逃せません。
さらに、どの施策が効果的だったか、どのチャネルで反応が高かったかなどを可視化することで、次の施策へとつなげやすくなります。

Point Hubでは、この共通化の仕組みを、システム負担の少ない形で段階的に導入できるよう設計しています。
アプリとポイントを起点に、徐々に顧客接点をつなげていく。
それが、無理なくOMOを実現する第一歩です。

次回は、共通ポイントの利用履歴から読み取れる“顧客の動き”について掘り下げていきます。